「仁菜!こっちこっち!」
放課後の、人の少なくなった中庭。
ベンチに座って、
手招きしているのは祐大くん。
先生と連絡先を交換したあの日から、
少しずつ教室でも祐大くんと喋る事も増えて、
恋愛経験のない私なんかでいいのか不安だけど、すっかり祐大くんの相談相手役になった。
呼び方は、松浦くんの笠原さんって長いから仁菜でいい?って一言から、
私も名前で呼ぶことになった。
「今日は俺、一大決心した。」
私が横に座ると、
満面の笑みで自分のカバンを開る。
「ジャーーン!これ見ろよ!」
出てきたのは2枚の紙。
それは、最近面白いと流行っている映画のペアチケット。
「兄貴に貰ったんだ。今から玲子先生誘ってこようと思って!」

