「失礼します」


僕は吉田さんと一緒に準備室に入った



「清野くんと吉田さん、待っていました。二人に話があります」


話…
なんなんだ…


「次のコンクールにうちの科からは君たち二人を推薦することにしました」


コンクール…
この大学にギリギリ入った僕が…?


「早い話ですね。あたしはやらせていただきます」


「ありがとう」


「僕は辞退させてください」


「理由は?」


「この大学には一発で受かったわけではないです。僕よりうまい方がいた。だから僕は落ちたわけで」



「私はそんなこと知らない。君のピアノを聞いて君がいいと思ったんだ。君しかない」




君しかいない…




僕しかいないのだろうか…


「考えさせてください」




僕はそういう返事しかできなかった