沙耶は続けた


「美波は東京に引っ越した後もその初恋の人のことをずっと思ってて写真まで持ってるの」


初恋…

写真…


「うちらとタメで5歳のときにはもうピアノがヤバかったらしいよ」


「ピアノ…?」


「うん!なんかこっちのコンクールで優勝したらしいすごい子だったのに島の人誰も知らないの」



「俺らも5歳にはピアノ弾けたよな」


だいちゃんは言った


「そりゃ才能やら血筋上弾けないとね」


かっちゃんも入ってきた


「でも波照間島には初めてきたから俺らじゃねーな」


二人は口をそろえた





僕は…





一度どこかのところで5歳のときに優勝した覚えはあった





けれども波照間島に来たかは覚えてない



僕ではないんだな



そう思った