数時間後、私はくるくるのパーマになった自分と鏡の中で対面を果たした。胸くらいの長さで伸ばされっぱなしだった髪が綺麗にカットされ、ゆるめのパーマがかけられている。

・・・たしかに、顔がちょっと派手に見えるようになったよーな?

「いかがですか?後ろはこんな感じです。」

お姉さんが、手鏡を手渡してくれて、私の椅子をくるりと回転させる。

「なんか・・・素敵です。」

「良かったぁ~。いや、すごく良くお似合いですよ!イメージ全然変わりました!お客様、髪で隠されてたからあまりわからなかったですけど、フェイスラインがすごく綺麗なんですよ。お顔も小さいし、お客様は化けるタイプですよ。今日、確信しました。原石です。」

 お姉さんがあまり褒めるので、恥ずかしくなる。

 でもでも、言われてみれば、自分で言うのもなんだけど、この髪型・・・なんか、すごくいい気がする!

「次回はカラーしましょうか!ますます可愛くなると思いますよ!」

お姉さんに見送られて、私はふわふわした気持ちで、店を出た。


・・・・・・・・・・


「いいじゃんいいじゃーん!」

 近くのコーヒーショップで茉莉と落ち合う。私の髪型を見るなり、茉莉は自分のことのように嬉しそうな顔をした。

「そ、そうかな?なんか慣れないんだけど・・・。変じゃない?」

「全っ然変じゃない!いいよ~。これで山村君もイチコロだよぉ。」

「そう上手くいくかなぁ。」

「なーに弱音発言してんの。いけるいける。今度はさ、服も見にいこ、ね?」

 茉莉に褒められて、照れくさいけど、なんだか、嬉しかった。

 なんの根拠もないけど、私でも、頑張ったらもう少しだけ綺麗になれて、課長ともう少し親しくなれるんじゃないか、って思ったら、明日が少し、ほんの少しだけ、明るく見えた。