なにが起こったのかよくわからなくて、とにかく心臓だけが早く動いてて、あたしの体は固まったままだった。


「ははっ。体、小さいのな。」
いたずらに笑って、あたしの体を離してくれた。
彼の体の温もりがまだ残っていて、なんだかそれがすごく心地いいもののように思えた。


「う、うん。」それだけしか言えなくて、ゆっくりとあたしは元の場所に戻った。

「ごめんね。嫌だった?」彼はあたかもそんな風に思ってないという感じで聞いてきた。


あたし嫌だったのかな?少なくとも、嫌ではなかった気がする。突然のことすぎて、あたしの心臓がうるさすぎて、何も答えることができなかった。



バタン。三人組の女の子が入ってきた。



もう時計は十時を過ぎていた。次々と、受講生たちが教室に集まってくる。



そんなこんなであたしの十五歳の夏が始まった。