アタシが玄関を開けようとすると、中から小野田が出て来た。



「いらっしゃい。どうぞ」


「うん」



私は小野田の後を着いて歩く。凄く広くて肌寒いこの家は、何となく心地良さを感じる。


そう、ここに居れば全ての妬みや僻みから解放され、穏やかな気持ちになれる。


そんな心地良さを感じるんだ。



「どうですか?気に入りましたか?」



小野田はそう言ってニヤリと笑った。


家は気に入ったけど、やっぱりこいつと一緒なのは頂けない。



「気に入ったけど、1ヶ月したら出て行くよ」


「…そうですか」