「ふざけんな!辞めてやるっ!!」
「ちょっとナミちゃん?!」
アタシはブチ切れてそう言うと、荷物を持って店を飛び出した。
アタシを菜実だと勘違いして寄って来る奴らを突き飛ばし、ヒールを脱ぎ捨てて走り抜けると、タクシーのドアを自分で開けて無理矢理乗り込んだ。
「おじさん、早く出て!」
「…お客さん困りますよ…」
「いいから早く出しなさいよ!!」
アタシが大声で怒鳴ると、タクシーは走り出した。
「お客さん、芸能人か何か?」
「…橘菜実って知ってる?」
「あー、名前はね。凄い人気急上昇みたいだね。まさかお客さんが…?」



