しばらくしてきた人は、あまり優しそうじゃなかった。

「彩乃ちゃん、こんにちは。
体調はどうかな?」

声が出なくて首で返事をする。

「そっか。
何が起こったのかわかるかな?」


そう聞かれて、
今までの記憶が1枚のアルバムみたいになって浮かんでは消え、浮かんでは消え



最終的にたどり着いたのは、視界いっぱい広がる赤。



「赤」


暖かかった。

あったかい赤。

オレンジ色にも見えたかな。

ちょっと臭かった気もする。


そんなことを思いだした。