お小遣いが欲しかったというのもあるんだけど、本当ははやく処女を捨てたかった。


5万円。これがわたしの決めた値段。


出会いサイトで知り合ったおじさん。見かけはまあまあ。頭がちょっと薄くなっていたのが気になったけど、清潔な感じがしたので、オッケーか。


16歳の処女ガール。そうおじさんが言ったっけ。


「君みたいな可愛い子がホントにはじめて?」


クラスのみんなもそう思っている。


クラスでエッチの話になると、わたしはウソをつきながら引け目を感じた。


「涼子はもう経験済みだからね」と、クラスの友達に人目置かれていた。


いったいどうしてこうなってしまうのだろう?


わたしが処女であるのを知っているのはわたしだけ。だからはやく処女を捨てなくちゃいけなかった。


彼氏なんていないし、キスも数回しかしたことがない。もちろんエッチはまったくなし。そんな雰囲気になったことは何度かあったけど、いざというときになってビビった。


わたしの体に自信がないわけではない。でも、好きな人に女性の大切な部分を見せる(嗅がれる?)のが、恥ずかしかった。


どうしてだろう? 上手くは言えない。でも、おじさんにならその恥ずかしさも感じないような気がした。


ただ息が臭い人はダメだけど。だから煙草を吸わない人というのがただ一つの条件。


くんくん。臭くない。キスしてあげてもいっかな。


「俺の家に来る?」


それはよしたかった。


初めはやっぱりホテルが良い。確かそう伝えていたはずだけど? それに、知らない人の家にいきなりいくのはマズイでしょ。なにかあったら困るしね。


ラブホテルもダメ。あんなところに出入りしているとこを誰かに見られたらどうするの?ほんとの彼氏となら良いけど、おじさんとは絶対にダメ。


わたしが出した条件は、普通のホテル。