「ねえちゃんはさ、ヒーローって好きか?」

「え?」

不意打ちの質問に思わず聞き返してしまった。

「ヒーロー。俺は好きだぜ!だってかっこいいしさ、たよれるし。俺を守ってくれるヒーローがいるってかっこよくね?」

私の隣にはまだ小学校中学年ごろの男の子、隼人がいる。

両親が共働きなので、時々遊んだりしている。

「じゃあ私がなってあげるよ、ヒーロー!」

うでをあげて元気よく言う。

「姉ちゃんがなってくれんの?」

そういうと、隼人はパッと顔を輝かせた。

「じゃあさ、ヒーローだったらまず俺のボデイーガードしてよ!」

「ハイハイ。誰から守ればいいの?」

「近所の悪ガキ!あいつから守ってくれよ」

近所の悪ガキといえば野口まもるのことである。

野口君といえば体格も2,3年生とは思えないほどの体格である。

「まもるのやつ、近くの公園独り占めするんだぜ。近づこうとしたら怒るんだよ」