「あ、美緒〜!おはよ〜!」


爽やかな春の風が吹き抜ける中学2年の5月。


家を出ると、路地の少し先の方で手を振る少女が見えた。


日向美緒(ひゅうが みお)。
それが、私の名前。


「美緒〜っ!」


再び私の名前を呼びながらこちらに走ってくる少女は私の親友兼幼馴染みの竹田玲奈(たけだ れな)。


茶色のショートボブには少し天然パーマがかかっていて、長い睫毛と大きな瞳がどこかお嬢様らしき雰囲気を醸し出している。
更に、高く澄み切った声と小柄な体、明るく優しい性格。


間違いなく、『可愛い』の部類に入るだろう。