キーンコーン カンコーン

時間流れて下校時間。
斜め前に座る松倉君と話していた。

松倉君は松倉 夏樹っていって、
サッカー少年だ。
爽やかさが溢れ出てる感じのえっと…
イケメン…さんデス。

眩しくてガン見なんてもちろん出来ないけど。
仲良くしてくれてます。

教室の時計を見て、そろそろ帰ろうと席を立つ。
丁度それぐらいに一条君に声をかけられた。

「橘っちょっと良いか?」

クールな感じの空気を醸し出す一条君にやっぱり違和感を覚えた。

「うん。大丈夫だよ」

少し微笑んで、松倉君にバイバイしてから一条君についていった。

「どうしたの?一条君?」

どこへ向かってるのかも分からずただついていく。

〝あの〟空き教室に入った一条君はすぐに振り向いてふっくらと空気の溜まったほっぺを強調させながら言った。

「僕以外のこと仲良くしないでっ!」

甘える子供の様なその姿に母性本能をくすぐられたと言いますか…
私の背より少し上にある頭を撫でてしまった。

はっそういえば今気づいた。

「い、一条君っ一条君って、私の前と皆んなの前と態度が違う…ね?」

そう一条君に聞くと

「うんっだって、僕がこうやって甘えたいって思うのは瑠美だけだしっ
逆に、僕の周りに居る人達なんて顔だけでなーんも分かってないしっ?」

だからこれは瑠美だけーっ!
そう言った一条君の言葉に胸が締め付けられた。

「じゃ、じゃあかおちゃん…は?
沢尻 薫って知らない?私のずっと隣に居る子っ!可愛いでしょ?」

聞かなきゃよかった。なんて、聞いた後には思えない。

「あぁ。あの子?僕の眼にも入らないよ。僕に映るのは瑠美だけだよ?
あと、あの子よりも瑠美の方が何倍も可愛いし。」



ズクンと胸が鳴った。

「…ぃ。」

え?っと一条君が聞き返す。

「酷いよ一条君っ!かおちゃんは一条君が好きなのにどうして…っ
一条君がその気持ちに気づいてなかったとしても…かおちゃんをそんな風に言って欲しくはなかったっ!」


高校に入って初めて怒った。
叫んだ。

「ご、ごめん。」

…でも、さ。親友を…大好きな友達を
そんな風に言われたら…。。。
って。そんなの言い訳だって分かってる。

ポロリと涙が落ちた。
その場に居たくなくて教室から出て行く。



凄く…凄く自分勝手だ。
かおちゃんに秘密で一条君と関係を作ってるのに、
一条君のことを好きなかおちゃんを悪く言うな。なんて。

自分勝手だ。。。


酷いなんて一条君に思ったけど。言ったけど。
酷いのは…私だよ。。。

ポロポロと、流れ落ちる涙はかおちゃんが拭ってくれて、励ましてくれるまでは止まらなかったーー