「じゃあ僕先生に呼ばれてるから。
また後でね。」

そう言って笑顔を向ける一条君はやっぱり綺麗で可愛い。
でも何かが違う。

んー…なんだろ?
モンモンと頭に考えが回る中、聞きなれた可愛い声が届いた。

「おはよっ瑠美!」

ふんわり茶髪で大きな瞳。
でもボーイッシュな性格。
それでもキチンと恋はしていて、
そんなとこはやっぱり可愛い私の親友。

沢尻 薫。

「おはよっ!かおちゃん!」

一条君私となんて…本気なのかな?

なんて頭でぐるぐる回る中、かおちゃんの口から一条君の話題が飛び出した。

「私やっぱり一条君好きだなぁ…
告白しようかなぁ?」

うーんと頭を傾けて考えるかおちゃん。
なんだか胸がドキッとした。
一条君の話がでたからだろうか?

「瑠美はどう思う?」

いきなり聞かれ少し慌てる。

「そ、そうだね。
かおちゃんならきっと上手くいくよ!」

ちゃんと笑顔になってるかなぁ?
一条君もあのこと…本気なんかじゃないよね。

そう思っても、あの時の一条君の声と顔が離れない。
いつもよりも少し低い声に少し硬い表情。

『さっき言った事の返事、ちょうだい?』


ごめんね一条君。
私やっぱり信じられないんだ。
一条君が私の彼みたいな存在だなんて。
嘘なんじゃないかって思っちゃうんだ。否、
思いたくなってる。

かおちゃんが一条君を好きだからかなぁ?

「うん!ありがと!頑張るね!」

そう明るい笑顔を向けてくれるかおちゃんにさっきまでとは違う痛む様な〝ドキッ〟を感じた。

「う、うん。頑張って!」

右手をぎゅっと強く握った。
そうしないと上手く笑えない気がしたからーー