「ごめん。君の事を友達以上には見られない。
だから、その気持ちには答えられないんだ。本当、ごめんね。」

泣きそうになるのを堪え、相手を見た。
もう、お分かりだと思いますが、
告白の途中です。

「そ、ですか。」

声が震え、目が潤む。
本当に好きだった。好きだったのに。
その想いが叶う事はなかった。

気まずいまま相手と別れる。
とりあえず、思いっきり。
思いっっっきり泣きたい。

そう思った私は、もう結構の間使われていない空き教室へと足を運んだ。
その教室に入る前からもう涙を堪えることは出来ず、ぽろぽろと涙があふれた。

「ふぇっ……うぅ…」

泣きながら教室に入り、その場にうずくまった。
しゃがんだ足と足の間に頭を置いて、
抑えることなく思いっきり泣く。

「ふぇぇ……ふっ…うぅ〜…」

膝が濡れるのも気にせず、泣いていた。
そんな時、パサッと背中に何かがかかるのを感じ頭を上げた。

「ふぇ?」

そこには、同じクラスの一条君。
私と仲の良い薫ちゃんも、一条君はかっこいいと騒いでいたのを覚えてる。
でも、そんな一条君が何でここに?

「橘。橘 瑠美。」

私の名前を確認する様に呼んでいる一条君を見て、どうすれば良いのか迷っていた。
でも、そんな時でもまだ涙は止まらなくて。

ひっくひっくと息のしにくい状態で一条君をじーっと見つめてた。

「振られたんでしょ?俊に。」

ニコリと笑いながら綺麗な顔にふんわりと花を咲かせながら一条君は言った。

「ふぇ?」

『振られたんでしょ?』
この言葉が以上に胸に響いた。
〝俊〟と言うのは、確かに私の好きだった如月君の名前で。

「き…さらぎくん。」

なぜか如月君の名前を呼んだ。

「そう。俊に振られちゃったんだよね?」

確認する様にもう一度私に聞いた。
何か失礼だな。なんて考えながらさっきの事を思い出していた。

「うぅ…」

あーなんで思い出しちゃったんだろう…なんて。
そんな風に考えながらも、溢れる涙を止めようとはしなかった。

「うっく…ふぇっ……〜〜っ…」

そんな私の涙を、
一条君は親指で拭い、その口を静かに開いた。

「ねぇ。」

私の声だけが響く教室に、静かに一条君の声が木霊した。