わたしが疲れていると、かならず声をかけてくれるのが、幼なじみの啓太。
長身でスタイルも良くて、幼なじみのわたしから見てもイケメンだ。
「おー。どうしたよ!」
が彼の口ぐせ。
今日も、わたしが机に突っ伏していたら、つむじを押されてそう言われた。
なんだかやけになって、啓太のことをこづく。
「啓太あ。わたしもうだめかもお!!」
「うわっ、何がだよ。大丈夫?」
勉強も出来る啓太は、ちょっとうらやましい。
定期テストはいつでも一位。
勉強なんかしなくても、すごくいい進学校に入れちゃうんだもん。
神様、ひどい、この差。
「わたし、啓太とおんなじ高校いけないよ……」
「ああー」
何が、ああーだ、このっ。
だけど、この男はいつも、
「俺はあんが頑張ってるって知ってるから、無理すんな、あんまり」
こういう余計なひと言を付けて来るんだ。
わたしは、中学二年生の夏、啓太に告白した。
その時は、啓太に彼女がいるのを知っていて告白したから。
断られても当たり前だった。
告白、といっても、軽い冗談のようなものだ。
「啓太好きだよー。わたしと付きあって♪」
ほとんどふざけた調子で言ったわたし。
「彼女いる」
それに対してすまなそうに、真剣に話を聞いていた啓太。
今思えばなんてばかなことをしたんだろう。
恥ずかしい。
あの日真剣に告白していれば付きあえたかもしれないのに。
もしかしたら彼女と別れてくれたかもしれないのに。
ああ、やめよう。また過去に後悔してる。
「今も好き」
「え?」と啓太。
そうだよ、今も好き。あなたのことが。
「ううん。なんでもない」
たぶん、啓太は可愛い彼女とまだ続いているんだろう。
あれからもう一年すぎたのに
一途なんだ。
わたしじゃない、誰かに対して。
それはわたしをもっと好きにさせ、苦しくさせる。
「あん?」
啓太のきれいな顔に見詰められて赤くなった。
本当に、優しい人だなあ。
でもたぶん
彼女には、もっともっと、優しい人。