(仮題)アイネクライネ


アンドロイドにはアンドロイドの仕事、人間には人間の仕事ーーーそう、冷たく突き放されたような感覚に聞こえた。

わたしはゆっくりテーブルに置かれた白い封筒を手にした。

『川崎瑞希様』

白い封筒のまん中にはわたしの名前が記されている。

「兄さんの字…」

なつかしい。筆ベタな兄さんの字。

わたしは丁寧に封筒の口を開けた。

そこには便箋がたった1枚あるだけだった。


『瑞希、お元気ですか?
俺はこの手紙を、ある場所で書いています。
今まで連絡できなくて、手紙の返事も、メールの返事も、瑞希が美大へ入学してから、なにもできなくて申し訳ない。

最近はどうでしょうか?
絵を描き続けていますか?
瑞希の夢、個展を開く、それから、自分のギャラリーを持つ、この夢へ一歩でもいいから前進できていますか?

俺は君のそぼで描いてる姿を見ることはできないけれど…
君がずっと絵を描き続けていることを、俺は願わずにいられません。

どうか、いつまでも、瑞希の望む場所へ向かって行ってください』


手紙はそこで終わった。


短い手紙。

でも、確かに、これは兄さんが書いた手紙だ。