(仮題)アイネクライネ


わたしと彼は、お店の真ん中の席に向かい合って座った。

彼がゆっくりコーヒーに口をつける。

わたしはさっき、櫂人さんが厨房で話してくれたことを思い出した。




「瑞希ちゃんに話があるみたで、彼、ずっと待ってたんだよ。咲良ちゃんがここに案内してくれてね。画廊で話すよりはここがいいだろうって」

ーーーあ、だから。咲良さん、いなかったのか。
と思ったが、「わたし、さっきまで咲良さんのところにいたんですよ。なんで、咲良さんは言ってくれなかったんだろ?」

言ってくれたら、こんなに驚くこともなかったのに。

「さあ…。あとで咲良ちゃんに聞いてみたら?」
話が終わるまでお店は閉めておくから、と言って櫂人さんが焼きたてのブルーベリータルトをお皿に盛ってくれた。







「俺はレオと言います」
彼が口につけていたコーヒーカップを置いて、静かに言った。

前髪から見えた切れ長の目がわたしを見ている。

「俺は成(ジョウ)に造られた、アンドロイド型ロボットです」






ーーーあれ、彼はなにを言ってるんだろう?

ーーーアンドロイド型ロボット?

「え、ま、まっままま待ってください!」
混乱して、声が裏返った。

「あ、あの…、え?成って、川崎成のことです、か?」

「はい。あなたの兄、川崎成に」

「アンドロイド型ロボット、なのに、コーヒー飲めるのって、不思議ですね?」

ーーーあれ、なにを言ってるんだ、わたし。突っ込むところ、そこじゃないよね?!