そしてあの出張の時の出来事。 

 
 香織さんが部長の不倫相手ということ。

  
 圭介さんと香織さんが恋人同士のような関係だったこと。


 それらを知ったのはつい最近だ。


 あんなことをしてしまった手前、ずっと未羽さんのことは気にしていたのだが


メルアドも連絡先も知らなかった。

 
 そんなことがあったなんて思いもしなかった。


 未羽さんのことを思うと胸が痛くなった。


 一体どんな思いであの飲み会にきてたのだろう。


 そんな彼女の優しさが切なかった。
  

 俺だけが知っていた本当の彼女。
 

 それだけで十分だった。
  
 
 そして昨夜の彼女。


今まで女性といて正直あんなに楽しかったことはなかった。


何より彼女がとても楽しそうで、それが俺を幸せにしていた。


そして思ったのだ。
 

 助手席で楽しそうにしている彼女。



 俺のできる全てで彼女を幸せにできたらと。


 
 昨日は結局、何も言い出せずに別れてしまった。


本屋で時間を潰していると、未羽からメッセージが来た。



待たせてごめんなさい。

今会社を出ました。

これからそちらへ行きます。

手を合わせて謝るスタンプが頭を下げていた。



しばらくすると彼女が現れた。