誰かを傷つけても誰かを手に入れたいって思えるのって、本当はすごいことだと思う。
今俺はそんな気持ちで一杯だった。
余り正しいこととは思っていない。
だけど、ようやく見つけたたった一人の女性。
今はこの思いを絶対、失いたくはない。
気持ちってそんなに簡単に自分でどうにかできないのが、恋なんだよね。
その後俺はその彼女と友人の間を取り持った。
あいつの前でそう言って話した時、 彼女泣いていったっけ。
後輩もまんざらでもなさそうっだった。
そんなに思われていたら誰だって嬉しい。
その時の、今まで見たことのない元彼女の幸せそうな顔が忘れられない。
二人を置いて一人で車に乗り込み、車を走らせた。
独りの部屋に帰るのが嫌で、そのまま金華山までドライブに出かけた。
天気の良い日で、名古屋の街の灯りが綺麗だった。
駐車場の中で一人で思ったんだ。
俺も俺だけを思ってくれる女性を探そうと心底思った。
俺も彼女だけのことを思えるそんな女性を。
お互いを思いやる関係って案外難しいのだということに気がついたのは、元彼女と別れてからだった。
会社や電車の中、ぶらりと出掛けた午後の買い物。
女性は沢山いるのに、なかなかそんな出逢い見つからない。
打ち上げの席で出逢ったあの夜から未羽の存在は気になっていた。
けど、彼女は幸せだと思っていたから。
何も言い出せないままでいた。
いや違う、会うたび惹かれていく自分を彼女が幸せだと思うことで、諦めようとしていたのだ。
そんな考えがもう彼女に惹かれているのだということ、今になって気が付く。
彼女さえ幸せで、笑っていてくれればと。

