彼女は同じ会社の同僚の、圭介さんの彼女だった。
よく部の飲み会にやって来ていた。
初めての彼女を見たとき、ああこんな娘もいるんだなと思った。
本当に何処にでもいる普通の女の子だ。
普通すぎるくらいに。
同じ年齢の女の子は、おしゃれや男のことをワイワイ話すのが好きだ。
興味はあるが、そればかりを離されると男はどうしてもついていけなくなってしまう。
ところが彼女は自分から盛り上げるタイプではない。
けれど男女それぞれ一人一人をちゃんと見て話をしようとする。
どんな話もちゃんと聞いてくれる。
その真摯な姿は新鮮に映る。
彼女は多分、自分がモテているなんて気がついていない。
だけど、彼女の周りにはいつの間にか人が集まってくる。
こんなこと言うのなんだけど、圭介さんが彼女を飲み会に連れてくる理由良く分かる。
彼女を一人になんてとてもじゃないけど出来ないのだ。
自分がこうして飲んでいるうちに、どっかの男が彼女を口説いていたら。
しかも彼女は自分が口説かれているなんて全然思っていないのだ。
純粋な彼女はそのまま騙されて…
なんてこと、あるわけないって分かっているのだが、離れているとそんな事を考えてしまう。
多分本当はずっと会っていたいし、連れて歩きたいだけなんだろうけど。
こんな可愛い娘連れて歩いたら自慢出来るよ、本当。
それだけじゃない、彼女はずっと一緒にいたいと思える人なのだ。
誰に対してもさり気ない気遣いができる。
一緒にいると心地よくて安心できる。
勿論こう思うのは自分が彼女を好きになってしまったからだと思う。
こんな風にコントロール不能な俺をいさめる様に、何時かのことを考えてしまう。
いつかこの気持ちが終わってしまう時のことだ。
今はそのことの方が物凄く恐い。

