とりあえず、ベットを抜け出しランニング出来る格好に着替える。


 高校受験の頃から始めたランニングに出かける為だ。


 水分を取り、靴を履いて靴紐を絞める。


 扉を開けて外に飛び出した。



 九月とはいえ、まだ日差しは強い。


 朝日に向かって走り出した。


 カラスが鳴き声を上げて頭上を通り過ぎていく。



 お前も俺をバカだなと思ってるのかよ。



 そうだよな、こうしていても彼女のことばかり考えてしまう。


 すれ違う犬の散歩の人に頭を下げる。


 いつも会う人だ。


 いつもの通りの朝だ。


 なのに心は落ち着かない。



 音楽に集中しよう。


 ダメだ、こんな時に限ってすごいラブバラードだ。


 でも本当はすごく嬉しい。


 1KMほどのランニングはすぐに終わる。


 公園の横を通り過ぎる時、諦めて彼女にメールすることにした。


 まだ時間に余裕があったから、朝の公園の写真を取って一緒に添付する。


 彼女に見せたかった。

 
 
 
 おはよう。

 朝ランに来ました。

 公園は誰もいません。独り占めしてる気分です。

 今日の仕事帰りに一緒に食事しませんか?

 いつでもよいので返事ください。

 ではまた。


 
 これだけ書いてようやく落ち着いた。


 なんだ、彼女を誘いたかっただけなんだ。


 そう思うと自分が可笑しくて笑えた。


 スマホをしまうと、急いで家へと向かう。


 そろそろ時間だ。朝食をとって会社へ行こう。