サクラと密月




そう本人に確認してみたいのだが、一度も言ったことはない。


悪いことって相手に自分の弱味を握られることだよね。


 実はその事に今しみじみと実感してるんだよね。


この事が会社にバレたらどうしようって、本当はいつもビクビクしているんだ。



もし部長が裏切ったら、奥さんにバレて訴訟になったらって、本気で心配なんだよね。


自業自得なんだけど。


本当に後悔って先にたたないんだよね。


結局私はそんな存在なのではないか。



 だだの都合の良い女。



そう思った時、今まで感じたことのない強い焦りを感じた。


ちょっと疲れてしまったのかな。




先輩夫婦を見たからかもしれない。


あんなにお互いを思いやっているのってホント羨ましい。
 

でも全然背伸びとか無理とかしてなくて、自然体の二人。


見ていてとても毎日楽しそうなんだよね。
 

だから先輩の家は居心地がいいんだ。


 特別な何かがあるわけじゃない。


 他人に自慢できるものって、人より有利ってだけで、ただそれだけなんだよね。


人に何を言われても自分の幸せって、自分で決めるものだと思う。


自分だけが納得できればそれでいい。


 そう思う。



素直に笑って素直に泣けたり怒ったりって,お互いに信頼していないと出来ない。


圭介くんとなら出来ると思ったんだけどな。


もう彼は忘れてるかもしれない。