そんな事を考えていると電車は目的地についた。
改札を出ると、隣の課の女性社員に会った。
今日はあんまり話したい気分じゃないんだけどな。
とりあえず話を合わせる。
後々面倒なことはしたくないし。
彼女は最近私が圭介くんにご執心だったことを知っている。
花見のときも上手く例の彼女を引き離してくれた。
それ以外もよく協力してくれたっけ。
「おはよ、ねえ圭介くんどうだった?やっぱりあいつのせいだったの?」
彼女は私が部長とそういう中だということも知っていた。
何時もならこの話で盛り上がるんだけど、今日はなんだかメンドクサイ。
「まーね、彼あんまり話さなかったから。そんな事を言う人じゃないし。」
そこまでにしておこう。
どんな説明をしようか考えていたが、そこまでで大丈夫だったみたい。
「やっぱりね、彼そんな感じだもんね。くー、香織さんはいいな。そんなにモテて。」
いやいや、とんでもないよ、みーんな真っ赤な嘘だから。
恐らく彼女の中ではこうなっているのだ。
香織をめぐって二人の男が争っていると。
なんか説明したり訂正するの面倒だし、勝手に一人で話始めたからこのままにしておこう。
今日の様に辛い朝にはこのノリが心地良い。
今日一日ぐらいヒロインでいてもいいよね。

