そんなことを思い出しながら、冷たい水で顔を洗う。
そしてもう一度鏡を覗き込んだ。
ちょっとは目立たなくなったかな。
急いでメイクをし、荷物を持って家を出た。
天気は上々、駅まで駆け足。
電車に乗り遅れると大変だ。
なんとか乗りたかった電車に滑り込んだ。
隙間を見つけてすり抜け駅までの居場所を確保した。
電車はゆっくりと走りだした。
降りたい駅までまだ暫くあった。電車の中を見回した。
殆どが通勤中のサラリーマンだ。
大体同じメンバーだから少し安心する。
その中に学生のリア充がいた。
女の子は可愛い。制服の着こなし方が落ち着いていて好感が持てる。
話し方も落ち着いている。
男の子はちょっと勉強一筋タイプかな。
付き合うには少し退屈そうだ。
恵介くんの学生時代はどんな感じだったんだろう。
確か大卒だったよね。
例の彼女と知り合ったのも学生の頃たと言っていたっけ。
案外あんな感じだったのではないのだろうか。
そう思うと少し心が軽くなる。
ああ私って案外小心者。
でも確かに彼のことを知ったのは社会人になってからだから、本当のことは
今となっては解らない。
一体彼と何を話してたっけ。
あんまり思い出せなかった。

