雨は一晩中降り続いた。
次の日は朝から青空が広がっていた。
俺は何もなかった様に会社に出掛けた。
いつもの様に電車に乗った。
昨日の酒がまだ少し残ってて、少し気持ち悪いがいい気分だった。
電車の中で、今日の仕事の予定を考える。
まずは旅費の精算、それから溜まっていた報告書も書こう。
それから金曜日の打合せに出た宿題を作成しよう。
それで大体一日終わるはずだ。
満員電車に揺られ、そんなことを考えながら歩いていると会社についた。
いつもの様に淡々と仕事をこなし、時間が過ぎていくはずだった。
昨日の酒が、時々思い出したかの様に俺の思考能力を奪っていった。
蘭を思う気持ちも、時々波のように押し寄せて俺を苦しめた。
とにかく今日を何事もなかったかのように過ごし、いつもの様に家に帰りたかった。
そんなとき時ほど邪魔が入るものだ。
朝の10時過ぎ、皆が交代で休憩を取り終わるころ、例の部長から呼び出しがあったのだった。
休憩から戻った俺に同僚がそう言った。
俺は部長室に向かった。
部長室は役員フロアにあった。
俺のデスクのあるフロア1つ上の階だ。
エレベーター降りると秘書が受付するブースがある。
秘書に部長からの呼び出しで来たと名前を言うと、部屋へ通してくれた。
挨拶をして中に入り頭を下げて挨拶する。
そして窓際の真ん中に置いてある部長の机の前に歩みよった。

