そうして幾日かが過ぎた。
前以上に仕事に打ち込んだ。それが心地よかったのだ。
不思議と煩わしい人間関係も持ち込まれなくなった。
多分、自分が避けているからだ。
誰といても、何処にいても気がつくと彼女のことだけを考えていた。
そんな自分を誰にも邪魔されたくなかった。
そんなある日彼女からメールが届いた。
恵介へ
この間は先に帰ってしまってごめんなさい。
待ってる事できませんでした。
もしまた恵介にあったら自分が何をしてしまうか分からなかったからです。
あの日私は恵介が東京に来ることを知っていました。
恵介と同じ会社に実は友達が一人いたので。
その友達から聞いていたのです。
結婚して東京に住むことになったのですが、東京での生活は考えていたいたものとは
違っていました。
毎日夫が帰ってくるのを待つ日々。
それ以外、何もない自分。
反対に夫は仕事で毎日楽しそうに家を出ていきます。
大学を出ただけの自分にそんな世界は、広くて怖くて。
友達もできずただ夫を待つだけの毎日。
そんな時、東京に来た友達に恵介の話を聞きました。
同期のサークル仲間の中で、恵介は期待の星です。
友達に恵介を紹介してと頼まれたのは本当です。
でも紹介しません。
あなたはいつまでも私の大切な人だからです。
一番素敵な思い出の中の一番大切な記憶です。
だからごめんなさい。
これからもお仕事頑張ってください。
応援しています。

