サクラと密月



「さあ、どこに食べにいく?俺良く分からない。いい店しらない?」


そう彼女に聞いてみる。本当に何も考えていなかった。


「そうゆうところ、昔のままね。自分の興味あること以外人任せなとこ。」


そういって笑った。


懐かしい笑顔だった。


俺もつられて笑った。



彼女はこっちよ、と言ってある歩き出した。


俺は彼女についていく。


少し斜め後ろを歩きながら話始めた。


このある歩く間合いが懐かしい。



歩きながら色々な話をした。


主にお互い共通の知り合いの話だ。


あの二人が付き合っていたとか、別れたとか。


お互いに驚いたり笑ったり。



東京駅を出て街を歩く。



秋の昼下がりの街は少しのんびりとした空気に包まれていた。


ここが東京駅だからかも知れない。


ビジネスマンも多いが、観光客の引っ張るスーツケースも目立つ。


人通りの多い通りに出たので彼女の後ろを歩く。


黒のアンサンブルにベージュのタイトスタート。


そして飾り気のない黒のパンプス。


以前と同じ後ろ姿に懐かしさを感じる。


人通りの多い通りに出たので、彼女の後ろを歩く。


彼女が止まると俺も彼女の後ろで止まる。


彼女の髪から以前と同じシャンプーの香りがして少しドキドキした。