サクラと密月




携帯ゲームに夢中になっていると、いつの間にか富士山を通り過ぎていた。


熱海の山の中を新幹線は進んでいる。


ここでメールが来た。


仕事のメールだと思いメッセージを開いた。


随分音沙汰のなかった蘭からだった。


俺は少しドキドキしながらメッセージを開いた。



こんにちは。

元気ですか?

先日サークルの友達と久しぶりに遊びました。

恵介の話が出たよ。

頑張ってるんだってね。

色々聞いたよ。

私は相変わらずです。

よかったら東京に来た時にでも一緒にご飯でも食べましょう。

待ってるよ。

ではまた。



一瞬にして学生時代の記憶が甦った。


あの、毎日が自分の好きなことで頭が一杯だった日々。


その中に彼女の笑顔があった。


文面の中にその笑顔が広がる。


それだけじゃない、ずっと会ってない友人や仲間のことも思い出した。


あの頃のノリのまま返事を書いた。