サクラと密月




仕事に忙しい振りをして自分に問い掛ける毎日。


今日も未羽からメッセージがきた。


車内で少しゲームでもしようと、久しぶりにスマホを開いたのだ。



お元気ですか?


先日友達とパスタの美味しいお店を会社の近くで見つけました。


今日良かったら一緒にご飯食べませんか。


時間のあるとき御返事下さい。



画面の中で、可愛いスタンプが手を振っていた。


LINEは未羽が一緒にやろうといった。


返事がすぐに来るからと。


もう随分と彼女と会ってない。


その事が彼女と会うのを余計に躊躇させた。


実際は仕事中だと自分の携帯電話は机の中で、会社の携帯ばかりを使っている。


友人や家族とだって最近会話などしていなかった。


自分の携帯電話なんてこんな風に移動の時間に覗くことしか出来ない。


彼女に申し訳ないと思いつつ、仕事以外の後ろめたさが、彼女への返事を遅らせていた。


考えいると、新幹線は走りだした。


自然と気持ちは今日の東京での2回目のプレゼンの事を考えていた。


今度こそ決着をつけてやる気で、昨夜は終電まで粘って資料を作った。


とりあえず東京のプレゼンの進み具合を見て返事をすることにした。


難しいことは暫く考えたくなかった。


昨夜散々考えたから。


窓のそとはとても良い天気だった。