サクラと密月




話に置いていかれた俺達は呆然と聞いていた。


「すいません、これ内緒にしておいてください。」


とウインクしてすまなそうにした。


「でも、本当によかったです。いつもあの部長が持ってくる話、だいたいポシャるんですよね。


でも、今回は凄く上手くいっているから安心しました。」



なんだか呆れて反応する気にもなれなかった。


心のどこかで安堵する気持ちが強かった。



全くやってくれるよな。



もはや皆の会話は頭に入ってこなかった。


丁度いいや、今晩は金曜だ、ビールをもう一本追加した。和彦も一緒に頼んだ。


結局四人はビールを数本追加し、心地よく俺たちは新幹線に乗り込んだ。


座席に座り、車窓からホームを見つめる。


時間も良い時間になったので、別れを惜しむ恋人同士らしき二人連れが目にはいった。


「香織さんの話驚きました。 俺、てっきり恵介さんと出来てるんだと思ってたから。」


「俺もそう思ってた。」


酔っているせいだろう、素直に和彦にそう話した。


不思議だが、笑いが込み上げてきて笑いが止まらなくなった。


和彦も同じらしい。


つられて一緒に爆笑した。


こんなスッキリした気持ちは、本当に久しぶりだった。