「こちらこそ、御馳走様でした。」
そう言って取引先の営業マンに挨拶をすると、俺は香織さんに話かけた。
「大丈夫ですか?香織さん。」
すると、さっきまではすっと立っていた香織が、急に寄りかかってきた。
彼女のアルコールの香りと髪の香りが体にまとわりついてきた。
「ごめんなさい、ちょっと振ついちゃった。」と笑った。
そして態勢を立て直そうするのだが、上手くいかず俺に抱きついた。
驚く俺はとりあえず、彼女を落とさないように抱き締めた。
以外と華奢で柔らかいからだ。
絡まる髪。
ちょっとまった、こんなことは想定外だ。
しかもしばらく仕事一筋だった自分が、この状態はどうなのだ。
「和彦くん、彼女とはどうなったの?最近全然会ってないでしょ。」
そういって俺を見つめた。
月の綺麗な夜。
バックは横浜駅。
通りすがりの人がなんだとこっちを見ていく。
「香織さん、大丈夫なら手を離しますが。」
すると大胆にも首に抱きついてきた。
「嫌、こんなことあなたじゃなきゃしない。」
彼女の熱い息が耳や首筋を濡らす。
駄目だ、俺もどうかしてる。
冷静さをなんとか保とうと彼女を抱き締めるのはやめていたのだが、身体を押し付けられるのは
反則だとおもう。
もう何日間も感じたことのない男としての生理現象を停めることは不可能だった。

