サクラと密月




このラインを超えたら駄目だという所に、彼女がすっと入ってくる。


夜の残業中、別の割り込み仕事が入った時彼女がすっと珈琲を出してくれたり、


昼を食べそこねた時、外出を思い出して振ってくれたり。


新人が大きなプロジェクトを任されたと、面白く感じない人によく足を引っ張られるのだ。


まだ実績のない俺には、耐えることしかできない。


敵は会社の中だけではない。


社外の人間も同じだ。


会社の利害関係も絡まるから、余計ややこしい。


先日も危うく社内の秘密事項を喋らされそうになった。


そこに偶然香織がお茶を下げにきたので、話がそれて助かった。


本当は仕事がしたい。



新しい設計の図面だけ見ていたい。


しかし、現実は部品の調達から決定まで手のぬけ抜けない日々が続く。


調達はお金が絡むので、相手との駆け引きや下調べが重要になる。


また、営業マンとのコミュニケーションも大切だった。


ただ、話をしているだけなのだが時々その中に重要事項が入っていたりする。


人それぞれに話の間やきっかけがあって上手く引き出す必要があるのだ。


信頼関係がなくては話にならない。



上司は忙しく、先輩や同僚は頼れない。


そんな時はやはり長く部にいて、自分の利害関係な絡まないベテランの女性社員というのは


実に有難い存在なのだ。