むしろすっかり忘れていた。
あの時、和彦に言われなくては解らないほどに。
あの時声をかけられなかったら、そのまま彼女を置いて行ってしまっただろう。
仕事が忙しくなるのと同時に、自分の周辺も慌ただしく変わっていった。
ますます仕事が増え、プライベートと仕事の境目の区別がなくなくっていった。
週2のランチのミーティングは当たり前。
夜は仕事しながら適当に済ませる日もあれば、仕事関係の飲み会も増えた。
そして、いつもそこには香織がつきまとった。
適当にあしらってはいたものの、部内の事務全般が彼女の仕事なので、逃げる所はない。
そんな理由で?という理由でつきまとい離れない。
昼の食堂や、朝礼などにもついて来る。
そんな時は正直迷惑に感じる。
実際、今まで一緒に食事をしていた同僚や、先輩に彼女が来ると避けらてしまう。
ただ、俺の知らない会社の付き合いのある関係先や、関係先の関係者の好みなど、
俺の苦手な部分を彼女は実に良く熟知していて助けてくれたりした。
正直そういう時はありがたく感じる。
大きなプロジェクトを初めて抱えかたプレッシャーや、人間関係のストレスは
時に投げ出したくなるほどだから。

