そんな時に横にやって来たのが、同じ部内にいる事務員の香織だった。
大体男ばかりの世界に居た俺は、元々女性に対して不器用だ。
それは、話かけるとか一緒に居るということだけではない。
興味を持たれたり、愛情を示してくることにも、実はどう対処して良いやら解らないのだ。
まして同じ職場の仲間なら、無下にあしらう訳にもいかなかった。
まして女として見れない人に、しなだれかかられようが、例えばキスされたとしても、
俺にとっては家族や親子に近い感情しか感じることができなかった。
しかも彼女は入社して五年目のベテラン。
妙齢の女性を足蹴にでもしようものなら、この先の仕事にどんな邪魔してくるか解らなかった。
実際そんな被害の話を耳にしていた。
狙いは将来有望な男性社員。
目をつけたら所構わすいじり倒す。
そうして振り回し、男が挫けようものならさっさと捨てる。
プロジェクトが決まったあの日から、彼女の攻撃が始まった。あの夜だ。
あんなことになるなら、未羽を呼んだりしなかった。
いつもの飲み会のつもりでいたのだ。
だから彼女を呼んだ。
彼女を一人にしておくつもりなどなかった。
むしろ彼女に自分の次のプロジェクトを祝って欲しかった。
彼女なら笑顔で素直に祝ってくれる。
その顔が見たかった。
なのに香織はプロジェクトが決まった途端、俺にお祝い事を並べたてた。
けれど、将来有望視されている立場になった自分への喜びは、実は言葉では言い表すことができない。
しかも物語の主人公になった様に、回りの人達の態度が違った。
調子に乗っていたのだ。
味わったことのない気持ちに浸って見たかったのだと思う。
そのことに精一杯で、 彼女のことまでかまっていられなかった。

