サクラと密月




ああ、こういうものなのかなという気持ちと、今まで味わったことのない気持ちで


心は落ち着かない。


その落ち着かないのが、俺の勘にさわる。



初めて知るその感情に対しての対処の仕方を知らないからだ。


そしてそれが不安を誘った。


一緒に居る時は安心しても、離れている時の不安。


それが、彼女を飲み会に誘う理由だった。



彼女もそういう会に、特に嫌がることもなくついて来る。


しかも困った事に、連れていく先で彼女は本人の気持ちと関係なく、人の心にすっと入り込み


溶け込んでゆくのだ。


嬉しいと思うのと、不安な気持ちが頭をよぎる。


そんな気持ちは初めてだった。


人に執着したことのない自分は、この気持ちをもて余した。


そして、自分の世界が彼女にかき混ぜられるのに強い拒否感を感じた。


今まで感じたことのない感情に対して、俺は全くの無力だったのだ。


敗北感と苛立ちが、彼女を少しずつ遠ざけていたのかもしれない。