「今回の件、君知ってるかな、同じグループの者が起こした件。」
午後の役員室はオフィスと違って静かだ。
でもそれが逆に心臓に悪い。
変な緊張が手のひらを濡らした。
「取引先とのトラブルのことですか。」
彼女の件だ。
「実はトラブルの原因は、君の書いた報告書だと言う者がいてね。」
私は耳を疑った。
もしかして、私のせいになってるのかな。
一体どうなっているのだろう。
頭が真っ白になった。
すると係長が話し始めた。
「前回も話ましたが、今回の問題の資料は私も目を通して最終確認をしました。
責任を問われるのは私にあると思われますが。」
「そういう態度も実は問題になっているんだよ、君と彼女が特別な関係ではないかと
いう人がいてね。
別に関係の事が問題ではないんだ。二人きりで毎晩のように遅くまで仕事をしているのは、
公私混同で、そういう事をさせてる会社の体質のせいで今回のような問題が起きたのではないかと
まで言い出してね。」
うつむいていた顔を上げて目の前に座る役員の顔を見た。
目の前に座る役員。
お茶出しの時にしか顔を見ない。
話すわけではない。
その顔が困惑していた。
「勿論、そんなことはないと分かっているよ。私が一番君たちを見ているからね。
ただ、今回の件は別の部署にとても迷惑をかけてしまってね、一応確認しないといけなくなって
しまったんだ。」
なるほど、ごもっとも。
「しかも悪いことに、この話はその部署の耳に入ってしまってね。」
はあ。
「改善策を出せとうるさくてね、ここ最近立て続けに問題が起こってしまったからね。」
私には知らないことが沢山あるのだなと世の中の広さを改めて感じた。
いや、一体なにがどうなっているのか
二年目の者としては、ここにこうして存在することだけでも物凄いプレッシャーなのに。
その上、自分の弁護をするなんて出来なかった。
すると係長が話始めた。

