気が付くとお昼を回っていた。
キッチンに降りて行き、ダイニングテーブルに座り、何を食べようか考えてみる。
するとスマホが、メールを受信したと震えた。
手に取りスマホを開ける。
圭介からだった。
心臓が飛び出しそうだった。
覚悟を決めて、読みだした。
すると、そこには懐かしあの蒲郡の海の写真があった。
あの日と同じ、太陽にキラキラ輝く海。
そして真っ青な空。
その向こうに小さく見える船。
その愛情のこもったメッセージに、自然に涙が溢れた。
「俺はいつでも蘭の味方です。」
そうだ、ずっと圭介は私の隣にいた。
どんなに離れていても、あなたは私の心の中にいたのだ。
もう、一秒でも離れていたくなかった。
今日は平日だ。
ひょっとしたら、仕事かも。
でも、構わない。
声が聞きたい。すごく。
私はためらいもせず、アドレスから圭介の電話番号を探しボタンを押す。
何度目かのコールで、繋がった。
私は昔の様に彼に話かけた。
彼の声が返ってきた。
私は嬉しくて、心臓が飛び出しそうだった。
「どうしたの、こんな時間に。」
そう彼が尋ねた。
その向こうに波の音が聞こえた。
規則正しく打ち寄せる波の音。
「圭介、今どこにいるの。」
尋ねずにはいられなかった。
彼は少し沈黙したが、正直に話てくれた。
「蒲郡の海、昔一緒に来ただろ。」
私は声を上げた。
「私も今から行く、待ってて。」
それだけ言うと、スマホを置いた。
服を着替え、家を飛び出す。
歩きながら、電車を探した。
そして電車に飛び乗った。
あの日、二人で乗った電車。
今日は一人で乗る。
でも寂しくない。
懐かしい街並みも、可愛いバスも、可愛いあの日の私たちも、全てが愛おしかった。
もう二度と離れない。

