「美味しそうですね、そのスパゲティ。」
そう私が話かけた。
「そう、すごく美味しいんだよね。」
そう愛果。
「まかないだから、ハルはタダなんだって。」
ハルは黙々と食べた。
スパゲティは綺麗にたいらげられて、ハルは満足そう。
「さ、帰ろ。」
ハルは皿を持って厨房に向かった。
「私たちも出ようか。」
二人は立ち上がると、会計を済ませて店を出た。
入口を出た所にハルが立っていた。
愛果が出でくると、愛果の横に寄り添い右手を握る。
そして、彼女の顔を見つめる。
こちらからは愛果の顔は見えない。
でも多分幸せそうな顔してる。
後ろ姿で判る。
いいなあ。
二人の邪魔をしないように少し後ろを歩きながら、二人を見ていてそう思った。
ハルの車に三人で乗って、愛果のアパートまで送ってもらう。
愛果のアパートにつくと、車を降りた。
ハルにお礼を言って、愛果の後ろを歩きアパートに案内してもらった。
アパートは二階にあった。
部屋に入ると愛果は、電気をつけて窓を開けた。
そしてまた玄関へ歩きだす。
「ごめん、ちょっと行ってくる。」
そう言ってまた外に出て行った。
学生の時何度か泊まったことのある愛果の部屋。
ソファに座り、テレビをつけた。
窓が開きっぱななのに気づき窓をしめようと窓に近づいた。
そして窓の外を見た。
窓の下はハルと別れた駐車場だった。
見る気はなかったが、ハルの車が止まっていた。
その横でハルと愛果がキスしていた。
私は音をたてないようにそっと窓を閉めた。
いいなあ。
ソファに座って私は圭介を思い出した。
なにしてるのかな。
そう思うと胸が切なくなった。
メールの返事は来なかった。
そうだよね、こんなめんどくさい女なんて相手にせずに幸せになってもらいたい。
そう思う気持ちと、圭介を誰にも渡したくなくて堂々巡りをする私がいる。

