サクラと密月



結局二人でワイン二本も開けてしまった。


お店は閉店となり、二人は店を出た。



愛果は特に酔っていた。


歩く足元がおぼつかない。


「大丈夫。」と私。


酔った人ってどうして同じこというんだろう。


「大丈夫、大丈夫。」


そう言って駐車場に座り込んだ。


私が困っていると、彼女はスマホを取り出した。


「こうなったら奥の手だ。」


と立ちあがり、スマホを持った手を星空にかざす。


おー、かっこいい。


立派な酔っ払いだね。



そして電話をかけた。


そしてまたしゃがんだ。


しばらくスマホに耳を傾けている。


「あ、私です。ごめんなさい、また酔っ払っちゃった。」


どうも相手が出たらしい。


立ち上がると私から離れて話始めた。



私は星空を見上げていた。


楽しい夜だった。


そして星空がきれいだった。


圭介なにしてるかな。


彼と行ったスキー場で見上げた空を思い出していた。


地上の白い雪と、沢山の星。


友達とはぐれて二人でお土産屋さんの前で友達を待ったっけ。


店先のベンチに二人で腰かけた。


友達は別のお土産屋さんに行っていたんだよね。


私は寒いと文句を言っていた。


そしたら彼がそっと手をつないでくれた。


そして彼の服のポケットに入れてくれた。


彼の嬉しそうな横顔。


そしてキス。



友達ずっと来ないでと、思ったあの日。


でも、すぐに友達やって来たんだっけ。


こんなこと思い出したのは久しぶりだった。


あの日は特別な夜だった。


そんな事を思い出していると、 電話が終わった愛果が戻ってきた。


私が空を見つめていたから、愛果が何を考えてるのか尋ねてきた。


確か愛果も一緒に行ったんだっけ。


「みんなでスキーに行った時の事、思い出していたんだ。」


そういうと、愛果がああという顔をした。


「夜にお土産屋さんではぐれて大変だった。」


そういって笑うと、愛果がそうだったよね、と笑う。


確か探していたのは愛果たちだ。