サクラと密月




話を聞き終わると、彼女は黙ってふんふんと頷いた。


「ねえ、ワイン飲まない、久しぶりに。一緒に電車でかえろうよ。」


そういって注文する。


「実は私もさ、彼氏できたんだ。」


そう今度は愛果が語り出した。


次は私が聞く番だった。


運ばれてきたワインを飲みながら話をきく。


友達っていいなと思う瞬間だ。


新しい愛果の彼氏はどうも年下の男性らしい。


付き合ってずいぶん経つみたいだけど、働き始めた彼との距離が難しいみたい。


その上、会社の上司に言い寄られて大変みたいだ。



「仕事の時、すごく助けてくれるんだ。できる人だし。」


彼女がそう言いながら考え込む。


「仕事も私情持ち込まないからやりやすくて、一緒にいて楽しいんだけど。」


「でもさ、なんか違うんだよね。」


そう言って口ごもる彼女。


ん、なんかあるのかな?


「よくわかんないけど、仕事のやりやすいと恋愛って違うと思うんだけど。」


「つまり、錯覚しちゃうけど、でも違う。」


お、愛果すごく強気。


「ねえ、蘭が結婚決めたのなぜ。」


うーん、私の話はあんまり参考にならなかも。


「そうだね、一緒にいるのがすごく楽しくて、それが恋愛だと思っていた。」



って、もしかして結婚の話が出てるの。



「うん、実はそれに近いこと昨日言われた。」


ええっ、誰に。


「会社の上司、もう妙齢だんもんね、彼。」


「なんか親がうるさいんだって。」


 それで、上司はいくつなのかな。


そう言って愛果は寂しそうな顔をした。


上司の年齢のこと、聞けなかった。



深刻そうだ。



でも、愛果羨ましいぞ。


そう彼女に話す。


彼女もまんざらでもないみたいだ。


大学を出てそろそろ二年、適齢期なのかな、私たち。