~蒼 side ~
ドアを開けて入ってきたのは
五十嵐先生だった。
美姫の様子をみに来たらしい。
美姫は先生に注意され入院することを聞いた。
美姫『はーーい。』
あれ?
やけに素直だな。
もっと嫌がると思ったんだけど…。
蒼『やけに素直じゃん。』
美姫『入院なんてよくしてるからね。』
切なそうに笑う美姫。
五十嵐先生『美姫ちゃんは小さい頃からよく入院してる常連さんだからね。』
そっか…。
美姫は小さい頃から病気と闘ってるんだよな。
俺と出会うもっと前から…
話が終わり五十嵐先生は出ていった。
てゆーか……
俺…美姫が体調悪いの知らなかったんだけど。
なんで言ってくれなかったんだよ。
言ってくれなかったのを思い出すと
少しムッとしてきた。
蒼『………なぁ……美姫?
俺……美姫が体調悪いの知らなかったんだけど……?
なんで言ってくれなかったの?』
美姫の近くに行きみつめる。
黙ってる…
言えないことなのか?
蒼『美姫?なんで言わなかった?』
美姫『だって…… 』
少し怯えたような声で話し出す美姫。
やべ。
キツく言いすぎたかな…?
蒼『ん?なに?』
美姫『先生と約束したでしょ。』
………………え?約束?
蒼『……え?
その為にこんなになるまで無理したの?』
頷く美姫。
なんだよ。
その為に無理したのかよ…。
てかそんな理由で俺に黙ってたのかよ。
でも………よかった…。
蒼『………はぁ〜〜〜。』
思わずため息が出る。
蒼『そんなのの為に無理するなよ。』
でも…俺にも責任あるよな…。
蒼『ごめんな?
その約束しちゃったの俺だし。』
こんなになるなら約束しなきゃよかったかな…
美姫『先生悪くないでしょ?
先生のご褒美あったから勉強頑張れたんだよ?
誕生日………
ここで迎えちゃうと思うけど…
目標達成できたらお祝いしてね?』
祝う?
あたりまえだろ。
………てゆーか…
俺のご褒美ほしくてあんなになるまで
無理してたって………
すっげぇ嬉しいんだけど。
美姫の頑張ってる姿が目に浮かぶ。
………かわいいな。
言ってくれればよかったのに。
てか……目標達成してもできなくても
お祝いするつもりだったし。
蒼『……もちろん。』
「彼女」の誕生日祝わないわけねぇだろ。
美姫『……先生?
わたしって先生の「彼女」?』
……え?今更なに?
てか違うの?
蒼『違うの?
……やだ?』
首を横にふる美姫。
美姫『嫌なわけないでしょ?』
蒼『ん♪…じゃあ美姫は今日から
俺の「彼女」な。』
美姫『わたし……先生の「彼女」?』
俺の彼女じゃなかったら誰の彼女だよ。
蒼『そっ♪』
美姫『先生はわたしの…「彼氏」?』
だからそうだって言ってんのに…
蒼『ははっ。そうだけど…
美姫は誰と付き合ってんの?』
美姫『先生?今更だけどさ…
わたし病気もってるよ?』
そんなの知ってるけど…
蒼『知ってるけど?
そんなのずっと前から知ってるよ。
それがなに?』
美姫『そんな簡単な病気じゃないんだよ?
普通の人と違うんだよ?』
それも知ってる。
でもそんなので嫌いになるわけねぇだろ。
そんな簡単に諦められたら
とっくに諦めてる。
蒼『前にも言わなかったっけ?
俺はそんな小さい男じゃねぇよ。』
そんなの気にしない。
そう言いながら美姫の頭を撫でる。
美姫『……先生?
…わたし先生のこと好きになってよかった。』
そう言って抱きついてきた。
自分からこういうことしてこない美姫が
抱きついてきた。
小さい体でギュッと抱きついてくる美姫に
癒される。
俺も抱きつこうとしたとき
ガラガラガラ
また誰か来た。
……なんかいっつも邪魔が入るな…
もっと美姫とくっついていたいのに…
今度は誰だ?
