~美姫 side ~
ガラガラガラ
え…だれ?
五十嵐先生『美姫ちゃん?』
なんだおじさんか…
五十嵐先生『よかった。目が覚めたみたいだね。』
美姫『……おじさん…。』
五十嵐先生『でも………
こんなになるまで無理しちゃダメでしょ?』
美姫『ごめんなさい。』
でも…
テスト受けないと……
先生との約束が…
五十嵐先生『……もういいよ。
でも入院ね。』
やっぱ入院かぁ…。
でも…テスト終わったし
体大変だし
しょうがないよね。
美姫『はーい。』
蒼『やけに素直じゃん。』
だって自分の体のことはよくわかるし
それに…
入院は小さい頃からよくしてるから
もう慣れっこだもんね。
美姫『入院なんてよくしてるからね。』
五十嵐先生『美姫ちゃんは昔からよく
入院してる常連さんだからね。』
したくてしてるわけじゃないけど。
嫌でも何回もしてれば慣れちゃうよ。
五十嵐先生『とりあえずしばらくは入院ね。
また様子見に来るからなんかあったら呼んでね?』
美姫『はーーい。』
ガラガラガラ
おじさんが出ていった。
蒼『……なぁ…美姫?』
先生どうしたの?
蒼『俺…美姫が調子悪いの知らなかった
んだけど…?
なんで言ってくれなかったの?』
だって……
言ったらテスト受けさせてくれなかった
でしょ?
約束を……
先生に誕生日お祝いしてほしかったから…
………てゆーか……
顔…近いんですけど。
蒼『美姫?なんで言わなかった?』
あれ?なんか…
機嫌悪い?
美姫『だって……』
蒼『ん?なに?』
美姫『先生と約束したでしょ。』
蒼『………え?
そのためにこんなになるまで無理したの?』
そうだよ。
黙って頷く。
蒼『…………はぁ〜〜。』
なんでため息?
蒼『そんなのの為に無理すんなよ。』
そんなのって……
そんなのの為に頑張ったんだよ?
蒼『……ごめんな?
その約束しちゃったの俺だし。』
謝んないでよ。
その約束のために勉強頑張れたんだよ?
美姫『先生悪くないでしょ?
先生のご褒美があったから頑張れたんだよ?
誕生日……
ここで迎えちゃうと思うけど…
目標達成できたらお祝いしてくれる?』
蒼『……もちろん。』
やった。
これで安心して誕生日迎えられる。
蒼『…てゆーか……
彼女の誕生日祝わないわけないでしょ。』
……ん?
美姫『…先生?
……わたしって先生の彼女?』
いいの?
蒼『………違うの?』
蒼『………やだ?』
嫌なわけないよ。
ずっと……
そうなりたいって思ってたんだから…。
首を横にふり
美姫『嫌なわけないでしょ。』
蒼『ん♪……じゃあ美姫は今日から
俺の「彼女」な。』
彼女?
美姫『わたし…先生の彼女?』
蒼『そっ♪』
美姫『先生はわたしの…彼氏?』
自分で言ってて恥ずかしくなる。
蒼『ははっ。そうだけど……
てか…美姫だれと付き合ってんの?』
と笑ってる。
だって……
信じられないよ。
叶わないって
先生とこうなるなんて思ってもいなかった。
美姫『……先生?
今更だけどさ…
わたし病気もってるよ?』
そう。
わたしには治らない病気がある。
それ知らないわけじゃないよね…?
蒼『知ってるけど?
そんなのずっと前から知ってる。
それがなに?』
なにって……
そんなサラッと…
美姫『そんな簡単な病気じゃないんだよ?
普通の人と違うんだよ?』
そう。わたしの病気は治らないし
普通の人と違う。
それでもいいの?
蒼『前にも言わなかったっけ?
俺はそんな小さい男じゃねぇよ。』
そう言って頭を撫でてくれた。
先生……
やっぱわたし……
先生が好き。
あなたを好きになってよかった。
諦めなくてよかった。
美姫『……先生?
わたし……先生のこと好きになってよかった。』
そう言って
先生に抱きついた。
先生のにおいが…
香水のにおいがする。
安心する。
ガラガラガラ
反射的に先生から離れた。
またおじさんかな?
