~拓真 side~
家に帰ると
詩織たちと母さんの話し声が聞こえてきた。
拓真『……何でいんの?』
詩織たちの傍に行くと
詩織『あ〜やっと帰ってきた〜!!
ずっと待ってたんだよ!!』
だからなんでいるのか聞いてんだけど。
母さん『あら♡美姫ちゃんいらっしゃい。
ずーっと待ってたんだから♪』
美姫『す、すみません。』
美姫に抱きつきご機嫌な母さん。
…何してんだよ。
ほんの少し羨ましいけど…。
母さん『あ、拓真もおかえり♪
美姫ちゃん連れてきてくれてありがとう♡
さすが私の息子♡』
そんな事で褒められても嬉しくないんだけど…。
すごい機嫌いいしいっか。
母さん『今からご飯作るから待っててね。
みんなも食べてって♪』
エプロンを着てやる気満々な母さん。
詩織『はーい♪』
夏妃『少しは遠慮しなさいよ。』
柊『…コイツに遠慮とか無理だから。』
毎度おなじみの3人の会話。
山瀬『ありがとうございます。おねぇさん♡』
へぇ…
山瀬って意外と礼儀正しいんだ…。
てか…
初めて会ったのにいつの間になかよくなってんだよ。
「おねぇさん」って…。
ほんと…
女の扱いがうまいと言うか何と言うか…。
母さん『やだ山瀬くんったら~♪』
母さんも気に入ってるみたいだし。
詩織『早く~!部屋行くよっ!!』
どんどん階段を上がっていく詩織達。
お前の家じゃないだろ。
それになんで俺の部屋なんだよ。
拓真『勝手に入んなよ。』
詩織『なになに~?みられたら困るものでもあるの~??』
ニヤニヤと部屋に入っていく詩織。
山瀬『そりゃあるでしょ。
拓真くんだって男の子だし☆』
こいつら…うるさい。
詩織1人でもうるさいのに山瀬と2人だと…
手に負えない。
拓真『ねーよ!…柊なんとかしてくれよ。』
柊『……あぁ。』
バカ2人は柊に任せまだ下にいる美姫と夏妃の様子をみに下に降りると
母さんとキッチンで話している。
拓真『何してんの?』
近くにいた夏妃に聞いてみると
夏妃『美姫とおばさんの手伝い。
…私は教えてもらう感じだけど。』
あ〜そういうことか。
美姫は料理好きだし
母さんも嬉しそうだし…いっか。
上に上がり部屋に入ると
詩織『ねぇ~エロ本隠すならやっぱベッドの下かな~?』
山瀬『机の引き出しの奥とか押し入れもあるかもね☆』
柊『……』
俺がいない間に何やってんだよ。
てか柊…止めてくれよ。
拓真『何してんだよ。』
詩織『みてわかんない!?
エロ本探してんの!!』
そんな威張って言うことじゃないだろ。
つーか
拓真『そんなもんねーし。』
だからいくら探しても無駄。
詩織『嘘だ~!絶対ある!』
ゴソゴソ俺の部屋をあさっている詩織とは別に
山瀬『小さい頃からかわいいねー。』
勝手に昔のアルバムを持ち出して
美姫をみている山瀬。
拓真『だからないっつってんだろ。
それと何勝手にみてんだよ。』
いやそれよりも…
拓真『そもそも何で俺んちに来たんだよ。』
帰ったら家にいるっておかしいだろ。
詩織『何でって…心配だからに決まってるでしょ~!あの後何があったの?』
やっぱその事か。
予想はしてたけど。
拓真『実は…』
と学校に美姫と紺野の事がバレたこと、
紺野が電話やFAX送ったの俺たちだって言って美姫とケンカ?になったことを説明すると
詩織『えぇ~!?ばれちゃったの!?
てかてか!先生ひどくない!?
あたしたちがそんな事するわけないじゃん!』
リアクションが大きく紺野にキレる詩織。
柊『…まぁ当然だろ。
知ってたの俺達くらいだろうし。』
相変わらず冷静な柊。
山瀬『何で拓真くんを偽カレにしちゃうかなー。俺にしとけばいいのにー…』
何故か美姫に文句を言い下にいった山瀬。
部屋には柊と詩織と3人になり
詩織『…で!結局どうなったの?』
「どうなった」って言われても…
拓真『なんとかなったけどまだわかんね。』
詩織『ふーん…でもさぁ…
もしも2人が別れたらチャンスだね♪』
確かにそうだけど…
そうなんだけどさ…
そんな事言っちゃダメだろ。
紺野と別れれば俺にはチャンスかもしれない。
でも美姫は泣くだろ?
美姫と付き合いたいとは思う。
でも泣き顔や悲しむ顔はみたくない。
…複雑なんだよな。
柊『…そんな事美姫に言うなよバカ。』
詩織『だってさぁ~…
あたしは拓真と美姫のほうがお似合いだと思うんだもん!!』
そう言ってくれるのは嬉しいけどさ…
こんな時に言うことじゃないだろ。
3人でそんな会話をしてると
階段を上がる音が聞こえ俺の部屋の隣に誰か入って来た。
俺の部屋の隣…
そこは中学を卒業するまで美姫が使っていた
部屋。
…美姫?
どうしたんだ…?
