「し…………詩音?」 蒼くんはびっくりしている。 そりゃそうだよね。 急に私がこんな態度をとるなんて、びっくりだよね。 「詩音…………? なに怒ってんの?」 蒼くんが私の手を掴んでそう言った。 「怒ってないよ!」 「怒ってるじゃん。どうしたんだよ。何があった?」 蒼くんはなにも悪くないのに。 それなのに、私は蒼くんに、ひどいことをたくさんしてしまった。 「何もないってば! 離してよ!」 私は、そう言って教室を飛び出した。