でも、蒼くんの前で欲しい、というのも恥ずかしいし、だからと言って いらない、なんて絶対に言えない。



私は歩実に向かって苦笑いをすると、本を開いた。



すると、担任の宮原先生が、“おはようー”と言いながら教室に入ってきた。



「蒼ー! お前、昨日の英語の時間、寝てたんだってー?」


「えっ…………」



隣の席に座っている蒼くんは、ばれたか、という顔をして頭をかいている。



昨日の五限目、英語の授業中。


蒼くんは寝ていた。



私は起こそうかな、と思ったけど、蒼くんの寝顔がなんだか可愛くてそのままにしておいた。



英語の先生、気づいてたんだ……。