「まぁまぁ。明日は行くから。今日は行かなくていいだろ」


言葉がでなかった。


蒼くんが部活を休んでまで私のお見舞いに来てくれたことは嬉しかった。


でも、蒼くんの部活を邪魔してしまったんじゃないかと少し罪悪感もある。


矛盾した気持ちが、頭を駆け巡る。


「…………ごめん」


最終的にでてきたのが、その一言だった。


「おい、なんで詩音が謝るんだよ。お前はなんも悪くねぇし」


「詩音、早く退院してね。詩音がいないと、学校がつまらないよ」


私の手を握りながら、歩実が言った。



私は、最低なことをしていると思う。



こんな風に言ってくれる友達がいるのに、私はみんなに嘘をついている。


このままでいいのかな。



ちゃんと言った方がいいのかな。



悩んでいる間に時間は過ぎ、時刻は六時になっていた。