「おれが詩音を守る」 お兄ちゃんは、力強くそう言った。 その言葉に、すごく安心した。 「お前は、俺の大切な妹だからさ。十歳も離れてるし、詩音が可愛くて仕方がなかった」 お兄ちゃんは私の手を握ってそう言った。 まるで、私の冷めた心を温かく満たすように。 「医者になることは、おれの小さい頃からの夢だったんだ。でも………まさか詩音の主治医になるなんて…………」 代わってやれるものなら代わりたいもんだよ、そう言ってお兄ちゃんは私の頭をくしゃくしゃっと撫でた。