「あーおーい! あんた、また告白されたの?」


椅子に座って次の授業の準備をしていると、歩実の大きな声がした。


「あ、歩実…………お前、声でけぇんだよ」


蒼くんが照れくさそうに俯く。


え…………蒼くん、告白されたの?


「なに、蒼、付き合うの?」


歩実が興味津々に蒼くんにたずねる。


「付き合わねぇよ。おれ、好きな子いるし」


蒼くんの最後の一言に、私の心臓は思わずどきっと音をたてた。


蒼くん…………好きな子いるんだ。


誰だろう。


奈津ちゃん…………かな。


♪キーンコーンカーンコーン♪



聴き飽きたチャイムの音を聴きながら、そんなことを考えていた。