「わぁー。きれいだね!」 里緒は、詩音の腕をすり抜けて海へと走っていった。 水をばしゃばしゃと飛ばして無邪気に笑う里緒。 その笑顔は、詩音にそっくりだ。 「蒼くん」 「ん?」 「幸せだね」 詩音が、おれの手を握りながらそうつぶやいた。 「………ああ、幸せだな」