詩音は、あの手術の後、約束通りおれたちの元へ帰ってきてくれた。



目を覚ますと、“蒼くん”って、おれの大好きな笑顔で笑ってくれて。



その笑顔を見た瞬間、おれはもう詩音しか愛せないって、そう感じたんだ。



詩音の心臓病は、あの手術によってほとんど完治したらしい。



喘息の発作でたまに苦しくなることはあっても、もう倒れて意識を失う、なんてことはなくなった。




「よし、着いたぞ」



そこにあるのは、あの海。



詩音と結ばれ、詩音と仲直りした思い出の海だ。